人手不足が深刻化する中、外国人材の採用を検討する企業が増えています。特にベトナム人は勤勉で真面目な性格から多くの業種で高い評価を受けていて、名古屋の製造業や介護業でも注目されています。
しかし、「どの紹介会社を選べばいいのか」「制度が複雑でよく分からない」「採用後のサポートはどうすれば?」といった不安を感じている担当者も少なくありません。本記事では、ベトナム人材紹介会社の種類や選び方、成功のポイントまでを初心者にもわかりやすく解説します。
目次
日本の深刻な人手不足を背景に、外国人材の活用が多くの企業で検討されています。特にベトナム人材はその勤勉さや真面目さから、さまざまな分野で即戦力として期待されています。実際、2024年時点で日本の外国人労働者数は約230万人と過去最多を記録し、その中でもベトナム人労働者が約57万人と国籍別で最多となっています(※1)。
日本におけるベトナム人の在留資格別人数(令和6年6月末現在)
永住者 | 技能実習・特定技能 | 技術・人文知識・国際業務 | 留学 | 家族滞在 |
---|---|---|---|---|
902,203 | 425,714 | 394,295 | 368,589 | 283,204 |
ベトナム人材を採用するにあたって、いくつかの採用経路や支援機関の種類があります。それぞれ特徴が異なるため、自社のニーズに合った方法を理解しましょう。
民間の人材紹介会社がベトナム人材を紹介する一般的な方法です。日本国内外のベトナム人求職者と企業をマッチングし、正社員などとして直接雇用につなげます。ITエンジニアや専門職など高度人材の紹介に強い会社もあり、専門分野に特化したリクルーターが在籍していることも特徴です。紹介会社を利用すれば、企業は効率的に優秀な人材を確保でき、ミスマッチのリスクも専門家のサポートで減らせます。
人材派遣会社を通じて、一定期間ベトナム人材を受け入れる方法です。派遣社員として受け入れるため、繁忙期の一時的人手不足解消や試用的な採用に向いています。派遣会社は求人情報の提供から面接調整、雇用手続きまでサポートしてくれるため、スムーズに人材を確保できます。派遣期間終了後に正社員登用する「紹介予定派遣」を活用すれば、実際の勤務適性を見極めてから本採用することも可能です。
ベトナム人技能実習生を受け入れる場合、日本側では監理団体(組合など)が受入企業をサポートし、ベトナム側では政府認定の送り出し機関が候補者の募集・訓練を行います。送り出し機関は海外の労働者と日本企業をつなぐ専門機関で、来日前の研修やビザ手続き、通訳など総合的に支援します 。
技能実習制度は最長5年間の実習を通じて技能移転を図る制度で、特に製造業や建設業などで多く活用されています。実習生受け入れのメリットは、一定の技能を持つ若い人材を計画的に確保できる点ですが、受け入れには監理団体との契約や実習計画の認定など制度上の手続きが必要です。
特定技能は2019年に創設された在留資格で、人手不足が深刻な16分野で即戦力となる外国人を受け入れるものです。ベトナム人も特定技能で多数来日しており、愛知県は特定技能外国人の受入数が全国1位です。(※2)特定技能で採用する場合、受入企業には生活支援や日本語サポートなどの支援が義務付けられています。
そのため、自社で対応が難しい場合は外国人支援専門の登録支援機関に業務委託することになります。登録支援機関や人材紹介会社が一体となっている場合、求人紹介から入社後の生活支援までワンストップで提供してくれるため安心です。送り出し機関を通じてベトナム国内から特定技能候補者を募集し、必要な試験合格者を紹介してもらうケースも多く、ビザ取得手続きや労務管理についても専門的なサポートが受けられます。
このようにベトナム人材の採用には直接雇用型の紹介会社から派遣会社、技能実習生制度、特定技能制度まで様々なルートがあります。それぞれ在留資格や契約形態が異なるため、自社の必要とする人材のスキルレベル・雇用期間に合った方法を選択することが重要です。
ベトナム人材の採用を検討する名古屋の企業にとって、地元に拠点を持つ人材紹介会社や支援機関を選ぶことは大きなメリットです。ここからは名古屋を拠点とした紹介会社の特徴について見ていきましょう。
名古屋市を中心とする愛知県は製造業が盛んな地域であり、外国人労働者も製造業分野に集中する傾向があります。そのため、名古屋に根差した紹介会社は地域産業のニーズや特性をよく理解していて、適切な人材提案が可能です。
現地サポートの手厚さも名古屋に根ざした紹介会社の特徴です。地元にオフィスがあれば企業担当者との打ち合わせや面接調整もスムーズですし、採用後のフォローで実際に現場を訪問してくれるケースもあります。例えば、紹介会社によってはベトナム人スタッフが在籍し、入社後の労働者との母国語でのコミュニケーション支援や生活相談を行っている所もあります。こうしたサポートは定着率向上に寄与します。
人材紹介会社を選ぶ際は、いくつかポイントがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
名古屋周辺でベトナム人材の紹介実績が豊富な会社は、地元企業からの信頼も厚く、ベトナム側の送り出し機関や現地人材ネットワークとの太いパイプを持っていることが多いです。
あらかじめ自社の業界(例えば自動車部品製造、機械加工、介護など)での紹介事例があるかを確認するといいでしょう。特に技能実習生や特定技能の採用では法令遵守や手続き面も重要なため、監理団体や登録支援機関としての資格・許可を持つ信頼性の高い会社を選ぶことをおすすめします。
名古屋エリアには全国展開の大手からベトナム人専門の中小エージェントまで存在します。それぞれ料金体系や得意分野が異なりますので、問い合わせをして具体的な提案を聞いてみましょう。担当者の対応も重要で、迅速かつ丁寧に要望を汲み取ってくれるかをチェックします。
また契約前に企業側の現場担当者も交えて打ち合わせを行い、紹介会社が現場のニーズをしっかり理解しているか確認することが望ましいです。地元企業の採用事例や成功事例を持つ紹介会社であれば、名古屋ならではの課題(例えば地元特有の仕事文化や生活環境への適応など)への対策も共有してもらえるでしょう。
ベトナム人材を紹介会社に依頼する際の比較ポイントとして、費用・制度対応・サポート体制の3つが特に重要です。
人材紹介サービスを利用する場合、一般的な紹介手数料は採用人材の想定年収の約20%前後に設定されることが多いです。例えば年収300万円のポジションなら60万円程度が目安です。この手数料には、候補者の募集・選考にかかるコストのほか、場合によっては入社までの日本語研修やビザ取得サポートなどが含まれることもあります。各社の料金体系が明確かつ適正かを確認しましょう。
一方、技能実習生受け入れの場合は監理団体への管理費や送り出し機関への渡航前講習費用などが発生します。特定技能では登録支援機関への委託費用が必要です。初期費用だけでなく継続的にかかる費用(例: 毎月の監理費、支援費)も含めて比較検討することが大切です。
ベトナム人材の受け入れにはビザ(在留資格)手続きや法令遵守が不可欠です。比較検討時には、各紹介会社がどの制度に強みを持っているか確認しましょう。例えば、技能実習生に強い会社なら送り出し機関との太い連携がありスムーズに実習生を受け入れられます。
特定技能に詳しい会社なら、事前の技能評価試験の情報提供から在留資格申請、入国後の支援計画作成までトータルに対応できます。高度人材の採用なら就労ビザ申請の実績や専門職種の採用ノウハウが重要です。各社のWebサイトやパンフレットで対応可能な在留資格や取得実績をチェックし、自社の採用予定人材にマッチした専門性を持つ会社を選びましょう。
言語・生活面のサポートが手厚いかどうかは、外国人材の定着率に直結します。比較の際には、紹介プロセスから入社後までのサポート内容を確認しましょう。
例えば、
・面接時にオンラインで通訳を付けてくれる
・入社前に日本語研修を実施してくれる
・住宅探しや役所手続きに同行してくれる
といった具体的支援があるかを調べたり、相談窓口が設置されているかどうかを確認したりするといいでしょう。
また、文化の違いによるトラブルを防ぐために異文化研修や受入企業へのアドバイスを提供しているかもポイントです。サポート体制が充実している紹介会社は、単に人を紹介するだけでなく入社後のフォローアップまで行い、企業と労働者双方の満足度向上に努めています。自社に外国人材受け入れの経験が少ない場合は、きめ細かな支援を行ってくれる会社を選ぶことでトラブルを未然に防ぐことができます。
各社の実績や評判も総合的に比較しましょう。過去の紹介事例数や成功率、利用企業の声などは判断材料になります。費用・制度・サポートのバランスを見極め、自社に最適なパートナーを選定することが、ベトナム人材採用成功への第一歩です。
ベトナム人材を採用する企業が直面しがちな課題には、定着率の向上、文化・コミュニケーションのギャップ、人材ミスマッチの防止などがあります。それぞれの課題と解決策について見てみましょう。
採用したベトナム人社員が長く働いてくれるかどうかは大きな関心事です。せっかく採用しても、職場になじめず早期離職してしまったり、技能実習生が途中で帰国・転職してしまうケースも考えられます。
これを防ぐには、入社後のフォローが欠かせません。例えば、配属先で日本人社員がサポート役となるメンター制度を導入し、業務指導だけでなく日常生活の相談にも乗るようにします。また、企業側はキャリアパスや昇給の仕組みを明示し、ベトナム人社員が将来の展望を持てるようにすることも重要です。ベトナム人は家族思いで将来に向け努力を惜しまない傾向があります。
そのため、安定した収入と成長機会が得られる環境を整えることで、会社への信頼と愛着が生まれ、長期定着につながります。さらに、定期的な面談を実施して不安や不満を早期に把握し、必要な支援策(住居の改善や配置転換等)を講じることも効果的です。
紹介会社によっては定着支援サービスを提供しており、入社後半年~1年間は定期フォローを行って定着率向上を図ってくれる場合もありますので、活用すると良いでしょう。
日本とベトナムでは文化やビジネス習慣が異なるため、職場で誤解が生じることがあります。例えば、指示に対して「はい」と返事はするものの実は十分理解していなかった、遠慮して質問しなかったためにミスが起きた、といったケースです。
これを解決するには、お互いの文化理解を深める機会を設けることが有効です。企業側は外国人社員受け入れ研修を実施し、ベトナムの文化的背景やコミュニケーションスタイルについて日本人社員が学ぶ場を作りましょう。
同時に、ベトナム人社員にも日本の職場ルールやホウレンソウ(報告・連絡・相談)の大切さを丁寧に教えていく必要があります。言語面では、専門用語や業務手順を母国語で書いたマニュアルを用意したり、図解を交えて説明したりといった工夫が効果的です。
幸い、ベトナム人材は日本語習得にも意欲的で、専門用語まで努力して習得する向上心を持っている傾向にあります。社内にベトナム語のできるスタッフがいれば窓口になってもらい、いない場合でも通訳サービスやオンライン翻訳ツールを活用して意思疎通を図りましょう。
挨拶程度でも構わないので日本人側が簡単なベトナム語を覚えて話しかけると、相手との距離がぐっと縮まり信頼関係構築に役立ちます。社内コミュニケーションの風通しを良くし、異文化を尊重する姿勢を経営陣から示すことで、ベトナム人社員が相談しやすく働きやすい職場環境を作ることができます。
採用した人材が期待していたスキル水準に達していなかった、あるいは本人の希望と実際の職務内容が合っていなかったというミスマッチは、早期離職や生産性低下の原因になります。これを防ぐには、採用前の段階でミスマッチの芽を摘むことが重要です。
具体的には、求人票に業務内容や求めるスキル・日本語レベルをできるだけ詳細に記載し、候補者にも自分の経験や希望を正直に伝えてもらうようにします。ベトナム人材紹介会社を利用する場合は、応募者の日本語能力テスト結果や技術試験の成績を共有してもらう、オンライン面接で実技や知識を確認するなどの方法があります。
どうしても採用後に適性を見極めたい場合は前述の紹介予定派遣を活用し、一定期間お互いにフィット感を試すことも検討できます。入社後についても、配置転換や業務内容の調整が柔軟にできるように社内でフォローし、「思っていたのと違う」という不満を解消できるよう努めましょう。ミスマッチ防止には紹介会社の果たす役割も大きく、企業のニーズを深く理解した上で候補者を厳選してくれる会社を選ぶことでリスクを下げられます。面接日程の調整一つとっても、スピーディーかつ丁寧に対応し現場の意見も適宜フィードバックしてくれる紹介会社であれば、採用プロセス全体が円滑に進みミスマッチの少ない採用が期待できます。
最後に、ベトナム人材の成長を促し、早期に戦力化するポイントをご紹介します。
ベトナム人は勤勉かつ真面目で、新しいことに挑戦する意欲が高い人が多い傾向にあります。チームワークを重んじ協力的な性格も持ち合わせているため、日本の職場にも比較的早く馴染みやすいです。
こうした強みを理解し、適材適所で能力を発揮してもらえるよう配置や役割を考えることが大切です。例えば、コツコツと作業をこなす勤勉さが求められる製造ラインや、最新技術の習得が必要なIT開発部門などで、その学習意欲と粘り強さが活きるでしょう。企業側が彼らの頑張りを正当に評価し、成果に応じた昇進・昇給のチャンスを与えることで、さらにモチベーション高く働いてもらえるでしょう。
ベトナム人材を採用する際に重要になるのが、対応の早さと丁寧さ。優秀な人材ほど競争が激しいため、求人への応募から面接実施、内定までのプロセスをなるべく迅速に進めましょう。ただしスピードだけでなく、面接時の質問応答や条件提示において透明で誠実なコミュニケーションを心がけることも重要です。
企業の魅力や仕事内容を正確に伝え、候補者の不安や疑問に丁寧に答えることで、相互理解が深まり信頼関係が構築されます。このように採用段階から誠意を持って対応する企業には、候補者も安心して入社を決断できるでしょう。
また、現場の声を採用プロセスに反映させることも大切です。配属予定先の責任者や先輩社員が面接に同席し現場目線で適性を見る、内定後に職場見学や懇親の場を設けて雰囲気を知ってもらう、といった工夫をするとミスマッチの防止にもつながります。
ベトナム人材が能力を十分に発揮できるようになるまで、入社後の研修やサポートを手厚く行うことも成功のポイントです。業務に必要な技能研修はもちろん、日本で働く上でのルールや安全教育も改めて実施しましょう。
加えて、日本語研修やコミュニケーション研修の場を継続的に提供すると、職場での意思疎通がさらに円滑になります。例えば、週に一度簡単な日本語レッスンを開いたり、業務終了後に日本人社員との交流会を行うなど、楽しみながら学べる機会を作る企業もあります。登録支援機関等による生活サポートも積極的に活用してください。
役所手続きや病院受診の付き添い、地域の日本語教室の紹介など、日常生活面の支援が充実すれば、本人も安心して仕事に集中できます。こうした取り組みは結果的に定着率の向上と生産性アップにつながり、企業にとって大きなメリットとなります。
ベトナム人材に長く活躍していただくためには、日本人社員と同様に公平に評価し、将来的なキャリアパスを示すことが重要です。
「頑張って成果を上げれば昇進できる」
「スキルを磨けば専門職としてキャリアアップできる」
といった展望が見えれば、社員は会社に貢献し続けたいと思うものです。
特にベトナム人は家族のために働く動機が強く、安定したキャリア形成を重視する傾向にあります。昨今はベトナム人材がリーダーや管理職へキャリアアップしたり、将来的に現地法人を立ち上げた際の橋渡し役になってもらったりするケースもあります。本人の適性と希望を踏まえた配置転換や昇格の機会を与え、成長を後押しすることで、会社と本人双方にとって有益な関係を築くことができます。
こうしたポイントを押さえながらベトナム人材を戦略的なパートナーとして迎え入れることで、名古屋の企業は人材不足を乗り越えつつ事業拡大や海外展開への足がかりを作ることができるでしょう。
ベトナム人材紹介会社は、労働力不足の解消と職場の多様化に向けた心強い味方です。日本国内で増加の一途をたどるベトナム人労働者の力をうまく活用するためには、適切な採用ルートの選択と信頼できるパートナー選びがカギとなります。名古屋地域の産業ニーズに精通した紹介会社を選び、費用やサポート内容を比較検討することで、自社に最適な人材確保の方法が見えてきます。
採用後も文化の違いに寄り添ったサポートやキャリア支援を続けていくことで、ベトナム人社員が長く定着し活躍してくれる可能性が高まります。現場の声を大切にし、迅速かつ丁寧な対応で信頼関係を築くことが成功への近道です。ベトナム人材の活用は、単に人手を補うだけでなく、新しい視点や技術を社内にもたらし、企業の成長エンジンとなり得ます。
名古屋の企業にとって、ベトナム人材は地域経済を支える貴重な戦力です。本記事のポイントを参考に、適切な人材紹介会社の力を借りながら、ぜひベトナム人材採用・活用を成功させてください。御社の職場における多様性と活力が一段と高まり、将来的な発展につながることを願っています。
<参考記事>
※1…日本の外国人労働者は過去最高の230万人、最多はベトナム人の57万人(インドネシア、スリランカ、中国、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、日本) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ
※2…愛知県に住む外国人労働者の特徴 | 外国人採用 | ヨロワーク
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