運送業界の人手不足、本当に深刻ですよね。
でも、特定技能「運送業」制度を正しく理解し、活用することが、その解決に向けた確かな一歩になります。
この記事では、2024年に新しく始まった特定技能「運送業」の制度について、その基本から受け入れ企業が満たすべき条件、具体的な準備の手順、さらには必要な費用や注意点まで、7つのステップに沿って詳しくご説明します。(※1)
目次
運送業界の深刻な人手不足を背景に、外国人材を即戦力として受け入れるための特定技能「運送業」制度が新たに導入されました。
この制度を正しく理解することが、外国人ドライバー活用の第一歩です。
具体的には、運送業界における人手不足の現状と課題、特定技能制度導入の経緯と運送業への適用、特定技能「運送業」の対象となる具体的な業務範囲やトラック、バス、タクシー各分野での仕事内容、さらには特定技能1号と2号の違いや技能実習制度との比較について詳しく見ていきましょう。
この制度の基本を押さえることで、企業は新たな人材確保の道筋を描けます。
日本の運送業界は、トラック、バス、タクシーのいずれの分野においても、ドライバーの高齢化や若年層の入職者減少により、慢性的な人手不足が喫緊の課題です。
令和4年度の有効求人倍率は2.61倍と非常に高く、このまま対策を講じなければ、5年後には約28万8千人ものドライバーが不足すると予測されています。
内訳はトラック分野で約20万人、タクシー分野で約6万7千人、バス分野で約2万2千人の不足が見込まれます。
このような状況は、長時間労働の常態化や、物流・旅客輸送といった社会インフラの維持を困難にする大きな要因となっています。
この深刻な人手不足を解消することが、特定技能制度導入の大きな目的の一つです。
特定技能制度は、国内での人材確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れることを目的として2019年4月に創設された在留資格です。
深刻化する人手不足に対応するため、2024年3月には、「自動車運送業」を含む4分野が新たに対象として追加されました。
政府は自動車運送業分野において、今後5年間(令和6年度から令和10年度末まで)で最大2万4,500人の特定技能外国人材の受け入れを見込んでいます。
この決定は、日本の経済・社会基盤の持続可能性を維持するために、運送業界の人手不足解消が急務であるとの認識に基づいています。
特定技能「自動車運送業」の在留資格を持つ外国人が従事できるのは、トラック運送業、タクシー運送業、バス運送業の3つの業種における事業用自動車の運転業務、およびそれに付随する業務です。
具体的には、貨物自動車や旅客自動車の運転に加え、運行前後の車両点検、乗務記録の作成、荷物の積付けや荷役作業(トラック)、乗客への適切な対応や接遇業務(タクシー・バス)などが含まれます。
日本人が通常行っている車両清掃や運行前後の準備・片付けといった関連業務に付随的に従事することも可能ですが、主たる業務はあくまで運転業務とその関連業務です。
業種 | 主な業務内容 |
---|---|
トラック運送業 | 貨物自動車を使用して貨物を運送する運転業務、貨物の運行前後の車両点検、安全運行の確保、乗務記録の作成、荷物の積付け・固縛、荷下ろしなどの荷役作業 |
タクシー運送業 | 旅客自動車(タクシー)を使用して乗客を運送する運転業務、乗客の運行前後の車両点検、安全運行の確保、乗務記録の作成、乗客への適切な対応、地理案内、料金収受などの接遇業務 |
バス運送業 | 旅客自動車(一般乗合旅客自動車、一般貸切旅客自動車、特定旅客自動車)を使用して乗客を運送する運転業務、乗客の運行前後の車両点検、安全運行の確保、乗務記録の作成、乗客への案内や安全確保などの接遇業務 |
これらの業務を通じて、特定技能外国人は日本の物流と旅客輸送を支える重要な役割を担います。
特定技能「運送業」として働く外国人材は、トラック、バス、タクシーのいずれかの分野で専門的な運転業務に従事しますが、それぞれの分野で求められるスキルや知識、そして日々の業務内容は異なります。
トラックドライバーは、主に貨物の安全かつ効率的な輸送を担当し、荷物の積み下ろしやルート配送、長距離輸送など多様な運行形態があります。
バスドライバーは、路線バスや貸切バス、送迎バスなどでお客様を安全・快適に目的地まで輸送する役割を担い、正確なダイヤ運行や乗客への丁寧な案内が求められます。
タクシードライバーは、お客様を個別に目的地までお送りする仕事で、地理に関する知識や臨機応変な対応力、高いコミュニケーション能力が必要とされます。
いずれの分野も、安全運転はもちろんのこと、車両の日常点検や運行記録の作成といった付随業務も重要な仕事内容です。
特定技能には、「特定技能1号」と「特定技能2号」という2つの在留資格区分が存在し、それぞれ対象となる技能水準や在留期間、家族帯同の可否などが異なります。
特定技能1号は「特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」であり、在留期間は通算で上限5年、家族の帯同は基本的に認められません。
一方、特定技能2号は「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」で、在留期間の上限はなく、要件を満たせば配偶者や子の帯同も可能です。
現時点(2024年6月時点)で、自動車運送業分野においては特定技能1号のみが対象であり、特定技能2号での受け入れはできません。
項目 | 特定技能1号 | 特定技能2号 | 自動車運送業における位置づけ |
---|---|---|---|
技能水準 | 特定産業分野における相当程度の知識または経験 | 特定産業分野における熟練した技能 | 特定技能1号のみ対象 |
在留期間 | 通算上限5年 | 更新により上限なし | 通算上限5年 |
家族帯同 | 原則不可 | 要件を満たせば可(配偶者・子) | 原則不可 |
試験 | 技能試験及び日本語能力試験の合格が必要 | 分野ごとに定められる試験(建設・造船分野のみ) | 技能試験・日本語試験合格 |
したがって、運送業で特定技能外国人を受け入れる際は、まず特定技能1号の要件を満たす人材が対象となります。
技能実習制度は、日本の技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転し、その国の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的とした国際貢献のための制度です。
これに対し、特定技能制度は、国内での人材確保が困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人材を即戦力として受け入れることを目的としています。
特定技能制度の大きな特徴は、深刻な人手不足に対応するための労働力確保という側面が強い点です。
技能実習制度が原則として転職を認めていないのに対し、特定技能制度では同一業務区分内での転職や、試験に合格すれば他分野への転職も一定の条件下で可能です。
また、受け入れ機関(企業)には、外国人材への直接的な支援(生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談対応など)が義務付けられています。
項目 | 技能実習制度 | 特定技能制度(1号) |
---|---|---|
制度の目的 | 国際貢献(技能、技術、知識の開発途上地域等への移転) | 国内人手不足が深刻な特定産業分野における人材確保 |
対象分野 | 90職種165作業(2024年5月時点) | 12分野(2024年3月時点、自動車運送業を含む) |
在留期間 | 最長5年 | 最長5年 |
転職の可否 | 原則として不可(やむを得ない事情がある場合を除く) | 同一業務区分内での転職は可能、試験等により他分野への変更も可能 |
受け入れ形態 | 企業単独型、団体監理型 | 受け入れ企業による直接雇用(常勤) |
日本語能力要件 | 入国時に一定の日本語能力が必要(職種によりN4程度など) | 分野別に定められた日本語試験(N4以上またはN3以上など)の合格が必要 |
家族帯同 | 不可 | 原則不可 |
運送業界においては、即戦力としての活躍が期待される特定技能制度の活用が、人手不足解消の有効な手段の一つとして注目されています。
日本で運転免許を取る方法について、お話ししますね。特定技能で日本に来て、車の運転ができたら、仕事や毎日の生活がぐっと便利になります。「新しい可能性が広がりますよ」。
特定技能外国人を受け入れる企業は、まず国の定めた運送事業の許可を得ていることが絶対条件です。
具体的には、道路運送法に規定されているトラック事業、バス事業、またはタクシー事業のいずれかの許可を有している必要があります。
さらに、制度の適正な運用と情報共有を目的とした「自動車運送業分野特定技能協議会」への参加も必須とされています。
この協議会には、特定技能外国人の在留資格を申請する前までに加入し、必要な協力を行うことが求められます。
受け入れ企業が満たすべき主な条件は以下の通りです。
要件項目 | 詳細 |
---|---|
運送事業許可 | 道路運送法に規定されるトラック、バス、タクシーいずれかの自動車運送事業者であること |
自動車運送業分野特定技能協議会への加入 | 在留資格申請前までに加入し、制度の適正な運用に必要な協力を行うこと |
協議会への協力(登録支援機関含む) | 登録支援機関に支援業務を全て委託する場合、当該機関も協議会への加入と協力が必要 |
これらの許可や団体への参加は、特定技能制度が運送業界において健全に機能し、外国人材と受け入れ企業の双方にとって有益なものとなるための基盤となります。
外国人材を受け入れるためには、企業が従業員にとって働きやすい環境を提供していることを客観的に示す必要があります。
その証明となるのが、「働きやすい職場認証制度」や、トラック事業者向けの「安全性優良事業所(Gマーク)」の認証です。
これらの認証は、特定技能外国人を受け入れるための必須条件の一つとなります。
これらの認証制度は、単に外国人材受け入れの条件を満たすだけでなく、法令遵守、労働時間・休日の確保、従業員の心身の健康への配慮など、多岐にわたる項目で職場環境を評価します。
認証を取得することは、結果として日本人従業員を含めた全従業員の満足度向上や、企業のイメージアップにも繋がります。
認証制度 | 主な対象事業者 | 認証・認定機関の例 | 主な評価の観点 | 特定技能受け入れにおける位置づけ |
---|---|---|---|---|
働きやすい職場認証制度(運転者職場環境良好度認証制度) | トラック、バス、タクシー事業者 | 日本海事協会など | 法令遵守状況、労働時間・休日、心身の健康、安心・安定、多様な人材の確保・育成など | 全業種で特定技能外国人受け入れの必須要件の一つ |
安全性優良事業所認定(Gマーク制度) | 主にトラック事業者 | 全国貨物自動車運送適正化事業実施機関 | 安全性に関する法令遵守状況、事故や違反の状況、安全性向上のための取り組みの積極性など | トラック事業者の場合、「働きやすい職場認証制度」とのいずれかの取得が必須 |
これらの認証を取得し、維持することは、企業が労働環境の改善に継続的に取り組んでいる証です。
結果として、外国人材だけでなく、すべての従業員が安心して長く働ける職場づくりに貢献し、企業の持続的な発展を支える基盤となります。
特定技能「運送業」で外国人材が働くためには、一定の技能要件を満たすことが求められます。
これは、業務を安全かつ適切に遂行するための専門的な知識や技術を保有している証明を指します。
その技能を証明する手段として「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」が設けられています。
この試験は、トラック、バス、タクシーの各職種別に実施され、それぞれ学科試験と実技試験を通じて運転技術や安全運行に関する知識が評価されます。
試験の合格に加え、対応する日本の運転免許を保有することも必要です。
職種 | 求められる技能評価試験 | 試験内容 | 必要な運転免許 |
---|---|---|---|
トラック運送 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)に合格 | 学科・実技 | 第一種運転免許 |
タクシー運送 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(タクシー)に合格 | 学科・実技 | 第二種運転免許 |
バス運送 | 自動車運送業分野特定技能1号評価試験(バス)に合格 | 学科・実技 | 第二種運転免許 |
したがって、受け入れを検討する外国人材が、希望する職種の技能評価試験に合格し、かつ関連する運転免許を取得していることが、特定技能人材として活躍するための技術的な前提条件です。
特定技能「運送業」で外国人材が活躍するためには、職種に応じた日本語能力が不可欠です。
安全な業務遂行と、顧客や同僚との円滑なコミュニケーションを実現するために、明確な日本語能力の基準が設けられています。
具体的には、トラックドライバーとして働く場合には、業務上の指示理解や簡単な報告ができるレベルとして、日本語能力試験(JLPT)でN4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)でA2レベル以上の合格が必要です。
一方、バスやタクシーのドライバーは、乗客とのより直接的で詳細なコミュニケーションが求められるため、日本語能力試験(JLPT)でN3以上という、より高い水準の日本語能力が求められます。
職種 | 必要な日本語能力レベル | 備考 |
---|---|---|
トラック運送業 | 日本語能力試験(JLPT) N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)で一定基準以上 | 技能実習2号を良好に修了した外国人は、トラック分野に限り日本語試験免除 |
タクシー運送業 | 日本語能力試験(JLPT) N3以上 | |
バス運送業 | 日本語能力試験(JLPT) N3以上 |
これらの日本語能力基準は、外国人材がそれぞれの職務を適切にこなし、日本の交通社会の一員として安全に貢献するための基礎となります。
企業側は採用する人材がこれらの基準を満たしているかを確認し、必要に応じて日本語学習のサポートを行うことが、円滑な受け入れと長期的な活躍に繋がります。
外国人材が日本でドライバーとして働くためには、日本の運転免許証が不可欠です。
特に海外に在住している方が免許を取得したり、必要な研修を受けたりするためには、「特定活動」という在留資格を利用した準備期間が設けられています。
この期間や、免許切り替えの「外免切替」制度を理解することが、スムーズな受け入れの鍵となります。
日本で運転免許を取得する方法は主に3つあり、それぞれの状況に応じて選択します。
例えば、日本の自動車教習所で新たに免許を取得する場合、学科試験は2024年6月から20言語に対応しており、外国人材にも門戸が広がっています。
また、海外に居住している方が日本で運転免許取得や研修受講の準備をするための「特定活動」という在留資格では、トラックドライバー志望者は最長6ヶ月、バス・タクシードライバー志望者は最長1年間日本に滞在できます。
取得方法 | 対象者・条件など | 備考 |
---|---|---|
日本の自動車教習所で取得 | 日本で新たに免許を取得する方 | 学科試験は多言語対応、「受験資格特例教習」で大型・二種免許の受験資格要件緩和あり |
外国の運転免許を切り替える(外免切替) | 有効な外国免許を所持し、免許取得国で通算3ヶ月以上滞在した方 | 知識確認・技能確認が必要(一部免除国あり) |
「特定活動」在留資格を利用した準備 | 海外に居住し、日本での免許取得や研修受講を希望する方 | トラック:最長6ヶ月、バス・タクシー:最長1年。期間中は車両清掃などの関連業務に従事可能。この期間は特定技能1号の在留期間には含まれない |
これらの方法を活用することで、外国人材は計画的に日本の運転免許を取得し、特定技能ドライバーとしてのキャリアをスタートさせることができます。
企業側は、外国人材の状況に合わせて適切なサポートを行うことが重要です。
特定技能外国人材を運送業で採用し、実際に就労を開始するまでには、いくつかの重要な段階を経る必要があります。
中でも、外国人材の状況に応じた適切な在留資格の申請が、全体の流れを左右する鍵となります。
求人募集から始まり、雇用契約の締結、支援計画の策定、そして在留資格の申請と、一連の手続きを進めます。
特に、外国人材が日本の運転免許を保有していない場合、「特定活動」という在留資格を利用して免許取得や研修を行う準備期間が必要となり、採用から就労開始までには通常6ヶ月以上を要します。
手続きの段階 | 主要な内容・留意点 |
---|---|
求人募集 | 国内外の適切なチャネルでの募集 |
雇用契約の締結 | 労働時間、給与、休日などの労働条件の明確化、日本人従業員と同等以上の待遇 |
1号特定技能外国人支援計画の作成・実施 | 来日前の情報提供、空港への出迎え、住居確保支援、銀行口座開設などの生活サポート、日本語学習機会の提供、相談窓口設置など10項目の支援。登録支援機関への委託も可能 |
在留資格の申請 | 地方出入国在留管理局への「在留資格認定証明書交付申請」または「在留資格変更許可申請」。必要書類が多いため、行政書士など専門家への相談も有効 |
採用にかかる期間の目安 | 免許保有状況や日本語能力により変動。運転免許がない場合、特定活動ビザでの準備期間を含め、通常6ヶ月以上 |
受け入れにかかる主な費用 | 申請手続き費用、登録支援機関への委託費用(委託する場合)、外国人材の渡航費や当面の生活費支援、運転免許取得費用(企業負担が望ましい) |
これらの手続きは多岐にわたり、それぞれに時間と費用を要します。
したがって、外国人材の受け入れを成功させるためには、事前の周到な計画と、関係各所との連携が不可欠です。
特定技能外国人を受け入れる企業には、「1号特定技能外国人支援計画」の作成と実施が法律で義務付けられています。
これは、外国人材が日本での仕事や生活に困ることなく、スムーズに社会に溶け込めるようにするための重要な取り組みです。
この支援計画には、入国前の情報提供から始まり、住居の確保、各種手続きのサポート、日本語学習の機会提供、さらには日本人との交流促進まで、多岐にわたる10項目の支援内容が含まれます。
具体的にどのような支援を行う必要があるか、以下の表で確認しましょう。
支援内容 | 具体的な取り組み例 |
---|---|
1. 来日前の情報提供 | 業務内容、労働条件、日本での生活ルール、必要な手続きに関する説明 |
2. 出入国時の送迎 | 空港から事業所または住居への送迎、帰国時の空港への送迎 |
3. 住居確保・生活に必要な契約支援 | 連帯保証人になる、社宅の提供、銀行口座開設や携帯電話契約のサポート |
4. 生活オリエンテーション | 日本の交通ルール、医療機関の利用方法、災害時の対応、法的保護に必要な情報提供など |
5. 公的手続き等への同行 | 必要に応じた市区町村役場での住民登録、社会保障・税に関する手続きの同行 |
6. 日本語学習の機会提供 | 日本語教室の情報提供、オンライン教材の紹介、学習費用の補助など |
7. 相談・苦情への対応 | 職業生活上、日常生活上または社会生活上の相談・苦情について、適切な言語での対応、必要な助言・指導 |
8. 日本人との交流促進 | 地域住民との交流の場や自治会行事への参加促進、日本の文化を理解するための情報提供 |
9. 転職支援(受け入れ側の都合による契約解除時) | 次の受け入れ先を見つけるための情報提供、推薦状の作成など |
10. 定期的な面談・行政機関への通報 | 外国人材およびその監督者との定期的な面談(3ヶ月に1回以上)、労働基準法違反等を知った場合の行政機関への通報 |
これらの支援業務は、全て自社で行うことも可能ですが、専門的な知識や多言語対応が求められるため、国が認定した登録支援機関に委託することも認められています。(※2)
登録支援機関を活用することで、企業は支援業務の負担を軽減し、本来の事業活動に集中できます。
支援計画の適切な実施は、外国人材の定着と活躍に不可欠であり、企業が特定技能制度を活用する上で非常に重要なポイントとなります。
在留資格「特定技能1号」とは、特定の産業分野において、相当程度の知識または経験を必要とする技能を持つ外国人材が、日本で就労するために必要な法的な資格です。
この資格を得るためには、原則として地方出入国在留管理局に対して、「在留資格認定証明書交付申請」(海外から呼び寄せる場合)または「在留資格変更許可申請」(既に他の在留資格で国内に滞在している場合)といった手続きを進めることになります。
申請には、多岐にわたる書類の準備が求められます。
以下は、その主な例です。
書類区分 | 主な書類の例 |
---|---|
申請者に関する書類 | 在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書、写真、パスポート・在留カードの写し |
受入れ機関に関する書類 | 登記事項証明書、決算文書の写し、労働条件通知書の写し、特定技能雇用契約書の写し |
技能・日本語能力証明 | 技能試験合格証の写し、日本語能力試験合格証の写し |
支援計画関連書類 | 1号特定技能外国人支援計画書、支援責任者・担当者の履歴書 |
その他 | 徴収費用の説明書、申請手数料 |
これらの手続きや必要書類の準備は、専門的な知識と細かな確認作業を要するため、行政書士などの専門家への相談を検討することが、スムーズな申請への近道です。
特定技能「運送業」制度の活用は、深刻化するドライバー不足に悩む企業にとって、即戦力となる外国人材を確保し、事業の継続と発展を目指す上で大きな強みとなります。
政府は今後5年間で最大2万4,500人の特定技能外国人材の受け入れを見込んでおり、慢性的な人手不足の緩和が期待できます。
企業がこの制度を導入することで得られる主な利点は、以下の通りです。
メリット | 具体的な内容 |
---|---|
深刻な人手不足の緩和 | 採用難が続くドライバー職で、新たな人材供給源を確保 |
即戦力となる人材の採用 | 一定の技能評価試験と日本語能力試験に合格しているため、早期の活躍を期待 |
最長5年間の安定した雇用 | 特定技能1号では、通算で最長5年間雇用が可能 |
採用ターゲットの拡大 | 国内採用に加え、海外からの人材採用という新たな選択肢 |
事業の継続性と成長への貢献 | ドライバー不足による事業縮小リスクを軽減し、将来的な事業拡大の基盤を構築 |
職場環境改善の促進 | 受入れ要件である「働きやすい職場認証制度」取得などを通じ、より良い職場環境づくりが進展 |
これらの利点を最大限に活かすことで、企業は採用課題の解決だけでなく、組織全体の活性化や持続的な成長へと繋げることが可能です。
特定技能「運送業」を導入する際には、企業側にいくつかの注意点と乗り越えるべき課題が存在します。
特に、外国人材への支援義務の履行や、言語・文化の壁への対応、そして受け入れに伴うコスト負担は、事前に十分な検討と準備が必要となります。
企業が留意すべき主な注意点と課題は、以下の通りです。
課題・注意点 | 具体的な内容 |
---|---|
支援計画の策定・実施義務 | 来日前の情報提供から生活サポート、日本語学習機会の提供など、多岐にわたる10項目の支援 |
業界団体への参加義務 | 「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入と協力 |
労働環境の整備と認証取得 | 「運転者職場環境良好度認証制度」の認証、または「安全性優良事業所(Gマーク)」の認定(トラック事業者) |
各種研修の実施義務 | 「初任運転者研修」または「新任運転者研修」の実施 |
日本の運転免許取得サポート | 外国人材が日本の運転免許を取得するためのサポート、費用負担の検討(企業負担が望ましい) |
言語・文化の違いへの対応 | コミュニケーション円滑化のための工夫、生活習慣への配慮、ハラスメント防止 |
受け入れコストの負担 | 申請手続き費用、登録支援機関への委託費用、渡航費・初期生活費支援、運転免許取得費用、教育費用など |
安全管理・運行管理上の配慮 | 日本の交通ルール・運転習慣への適応支援、外国人ドライバー特有のリスク管理 |
直接雇用の原則 | 労働者派遣は不可、常勤の従業員としての直接雇用 |
禁止される契約 | 保証金の徴収、雇用契約不履行時の違約金設定、不当な財産移転を予定する契約の禁止 |
これらの課題に計画的に対応し、必要な体制を整備することが、特定技能「運送業」制度の円滑な導入と、外国人ドライバーの定着・活躍につながります。
外国人ドライバーを受け入れる上で、言葉の壁や文化・習慣の違いは、コミュニケーションエラーや誤解を生む可能性があります。
これらの違いを乗り越え、外国人ドライバーが安心して能力を発揮できる職場環境を整備するためには、企業側の積極的なサポートと理解促進の取り組みが不可欠です。
具体的には、多言語対応ツールの導入や、異文化理解を深めるための研修などが考えられます。
言語の壁や文化の違いを乗り越えるための具体的な対策例は、以下の通りです。
課題 | 対策例 |
---|---|
言語の壁 | 翻訳アプリやツールの導入、業務マニュアルの多言語化(図やイラスト活用)、社内掲示物の翻訳、日本語学習機会の提供(定期的な研修実施など) |
文化の違い | 異文化理解研修の実施(日本人従業員・外国人ドライバー双方)、メンター制度の導入、相談窓口の設置、社内交流イベントの企画、宗教的配慮(祈祷場所の確保など) |
これらの対策は一例ですが、企業が主体的にコミュニケーションの橋渡しをし、お互いの文化を尊重する姿勢を示すことが、信頼関係の構築に繋がります。
結果として、外国人ドライバーの早期活躍と定着を促進し、企業全体の活性化にも貢献するでしょう。
外国人ドライバーが日本の交通環境や業務にスムーズに慣れるためには、企業による積極的な運転適応支援と継続的な教育が不可欠です。
これには、単に運転技術を教えるだけでなく、日本の交通法規、マナー、そして安全意識を深く理解してもらうための多岐にわたる取り組みが含まれます。
例えば、トラックドライバーであれば第一種運転免許、バス・タクシードライバーであれば第二種運転免許の取得をサポートし、特に後者の場合は国土交通省令に基づく「新任運転者研修」を必ず実施します。
支援・教育項目 | 具体的な内容例 | 関連情報や手段 |
---|---|---|
日本の交通法規・マナー教育 | 道路標識、交通ルール(左側通行、歩行者優先など)の徹底、危険予測トレーニング | 定期的な講習会、オンライン学習教材の提供 |
実践的な運転技術指導 | 日本特有の道路事情(狭い道、複雑な交差点)への対応、多様な気象条件下(雨天、降雪時)の安全運転指導 | 指導運転者による同乗指導、運転シミュレーターの活用 |
安全装備の正しい使用方法 | ドライブレコーダーやデジタルタコグラフの操作説明と記録の活用、始業前終業後点検の励行 | 研修時の実機操作、わかりやすいマニュアルの配布 |
緊急時の対応訓練 | 事故発生時や自然災害遭遇時の連絡・避難手順、初期消火、応急救護措置 | 定期的な防災訓練、緊急時対応マニュアルの周知 |
日本語コミュニケーション支援 | 業務指示の正確な理解、顧客への丁寧な対応、緊急連絡に必要な日本語フレーズの習得、社内コミュニケーション促進 | 日本語学習アプリの推奨、社内勉強会の開催 |
生活面でのサポート | 日本の生活習慣(ゴミの分別、騒音への配慮など)に関する情報提供、地域イベントへの参加推奨 | 生活オリエンテーションの実施、相談窓口の設置 |
健康管理とメンタルヘルスケア | 長時間運転に伴う健康リスク(エコノミークラス症候群など)の予防、ストレスチェックの実施、相談しやすい職場風土づくり | 定期健康診断の受診勧奨、産業医や専門機関との連携 |
これらの支援と教育を継続的に行うことで、外国人ドライバーは安心して業務に専念できるようになり、企業にとっては安全運行の徹底と貴重な人材の長期的な定着という大きなメリットが期待できます。
特定技能「運送業」で外国人ドライバーを受け入れる際には、様々な費用が発生します。
企業がどの範囲まで費用を負担する必要があるのか、事前に正確に把握しておくことが、円滑な受け入れ計画の第一歩です。
具体的に発生する費用としては、在留資格の申請手続きに関する諸経費、外国人材の募集・採用にかかる費用、そして日本への渡航費などが挙げられます。
さらに、外国人材が日本で生活を始めるための初期支援として、住居の確保や生活オリエンテーションにかかる費用、そして日本語教育の機会提供に伴う費用も考慮に入れる必要があります。
これらの支援業務を登録支援機関に委託する場合は、その委託費用も発生します。
特に重要な費用項目と、企業負担に関する留意点を以下の表にまとめました。
費用項目 | 概要と企業負担に関する留意点 |
---|---|
募集・採用費 | 人材紹介会社への手数料、求人広告費など |
在留資格申請関連費 | 在留資格認定証明書交付申請や在留資格変更許可申請にかかる印紙代、行政書士等への依頼費用(依頼する場合) |
渡航費 | 外国人材が母国から日本へ来る際の航空券代など。企業負担が一般的 |
登録支援機関への委託費 | 支援計画の全てまたは一部を委託する場合に発生。月額費用や一時金など機関により異なる |
住居確保支援費 | 社宅の提供、賃貸物件の契約初期費用(敷金・礼金など)の負担または貸与、連帯保証人になるなど。企業が支援する範囲を明確にする必要がある |
来日初期の生活費支援 | 給与支給日までの当面の生活費。企業が一部または全額を貸し付ける、あるいは支給する場合がある |
運転免許取得費用 | 企業負担が望ましいとされています。外国人材が負担する場合は、事前に十分な説明を行い、書面で合意を得る必要がある |
日本語教育費用 | 日本語学校の学費補助、教材費、eラーニング費用など。業務遂行および日常生活に必要な日本語能力習得のため |
健康診断費用 | 受け入れ時および定期的な健康診断の費用 |
各種保険料 | 健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険の企業負担分 |
安全管理・教育研修費 | 初任運転者研修、安全運転指導、交通安全教育などにかかる費用 |
保証金・違約金の禁止 | いかなる名目であれ、外国人材から保証金を徴収したり、雇用契約の不履行に関する違約金を定める契約を締結したりすることは法律で禁止されています。例えば、運転免許取得費用を企業が立て替え、一定期間勤務後に返済を免除する契約であっても、退職時に一括返済を求めるような内容は違約金とみなされるため注意が必要です。 |
特定技能外国人を受け入れる際には、これらの費用を事前にリストアップし、予算計画をしっかりと立てることが、後のトラブルを防ぎ、スムーズな受け入れを実現するために不可欠です。
外国人ドライバーを受け入れた後、まず重要になるのが初期研修の実施です。
特に、「初任運転者研修」や「新任運転者研修」は、国土交通省が定める、事業用自動車の運転者として業務を開始する前に必ず受けなければならない特別な指導・教育を指します。
これらの研修は、外国人ドライバーが日本の交通ルールや運転環境に安全に適応し、プロのドライバーとしての自覚と技能を身につけるために極めて重要なステップです。
受け入れ企業には、これらの法定研修を法令に基づき、計画的かつ確実に実施する責任があります。
研修の種類 | 対象業種 | 主な目的 |
---|---|---|
初任運転者研修 | トラック運送業 | 安全運行の基礎知識、車両点検、危険予測など、トラック乗務の基本習得 |
新任運転者研修 | タクシー運送業 | 安全運行、旅客対応、地理知識など、タクシー乗務に必要な技能・知識の習得 |
新任運転者研修 | バス運送業 | 安全運行、旅客対応、緊急時対応など、バス乗務に必要な技能・知識の習得 |
これらの研修を通じて、外国人ドライバーは日本の道路交通法規の理解を深め、安全運転に必要な知識・技能を習得します。
企業は、研修内容の質を担保し、外国人ドライバーが十分に理解できるよう、言語面での配慮も行いながら、これらの初期研修を省略することなく、丁寧かつ確実に実施することが求められます。
特定技能外国人が日本で安全かつ円滑に業務を遂行し、長期的に活躍するためには、採用後の継続的な教育と指導が不可欠です。
日常会話レベルの日本語能力だけでなく、業務特有の指示の理解、顧客との円滑なコミュニケーション、さらには緊急時の的確な対応など、具体的な業務場面を想定した日本語教育を継続的に行うことが求められます。
また、日本の交通法規の遵守は当然のことながら、特有の交通事情や運転文化、危険箇所を理解させるための安全運転指導も、繰り返し実施する必要があります。
教育・指導項目 | 具体的な内容例 | 期待される効果 |
---|---|---|
日本語教育 | 業務指示理解、顧客対応、緊急時連絡、業界用語習得、日本ビジネスマナー理解、安全標識読解 | コミュニケーション円滑化、業務効率向上、誤解防止、事故防止 |
安全運転指導 | 日本交通法規遵守、運転マナー習得、危険予測トレーニング(KYT)、ヒヤリハット共有、ドライブレコーダー映像分析、悪天候時運転注意 | 交通事故防止、安全意識向上、運転技術向上 |
これらの教育と指導を地道に継続することで、外国人ドライバーは安心して業務に取り組み、企業にとっては事故防止やサービス品質の向上、ひいては貴重な戦力としての定着に繋がります。
特定技能で受け入れた外国人材がその能力を最大限に発揮し、日本で安心して長く活躍してもらうためには、受け入れ企業による職場環境づくりが極めて重要です。
これは、法律で定められた支援義務を果たすことはもちろん、言葉の壁や文化・習慣の違いから生じる可能性のある不安を取り除き、外国人材が企業の一員として尊重されていると感じられるような配慮が求められます。
外国人材が定着し、活躍し続けるための職場環境づくりのポイントには、以下のようなものが挙げられます。
施策カテゴリ | 具体的な取り組み例 |
---|---|
生活基盤の安定支援 | 空港への出迎えと帰国の際の送り出し、住居確保のサポート(社宅の提供や物件探しの手伝い、連帯保証人としての対応など)、銀行口座の開設や携帯電話の契約といった生活インフラ整備の手伝い |
円滑な業務遂行支援 | 業務に必要な日本語の学習機会の提供(勤務時間内外での研修やオンライン学習ツールの紹介など)、業務マニュアルの多言語化や図解化による理解促進、先輩社員によるOJT(実地研修)や定期的なスキルアップ研修の実施 |
コミュニケーション促進 | 母国語でも相談できる窓口の設置や定期的な個人面談の実施、社内報や掲示物での多言語対応、社内交流イベント(歓迎会や懇親会など)の企画・開催、日本人従業員に対する異文化理解を深める研修の実施 |
公正な待遇とキャリア | 日本人従業員と同等以上の給与や労働条件の保証、明確な評価制度の構築とそれに基づくキャリアアップ(昇進・昇給)の機会提供、業務に関連する資格取得への支援(費用補助や学習時間の確保など) |
安心できる職場風土 | ハラスメント(いやがらせ)防止規定の作成と全従業員への周知徹底、安全衛生に関する教育の実施、外国人材の母国の文化や宗教的習慣(祝祭日、礼拝、食事制限など)への理解と可能な範囲での配慮 |
これらの取り組みを継続的に行うことで、外国人材は精神的な安定を得て業務に集中できるようになります。
結果として、企業は貴重な人材の流出を防ぎ、組織全体の活性化と持続的な成長を実現することが可能です。
特定技能「運送業」制度を円滑に活用するためには、正確かつ最新の情報を継続的に収集し、適切な準備を行うことが何よりも重要です。
制度に関する公式情報は、国土交通省や関連省庁のウェブサイトで確認できるほか、自動車運送業分野特定技能協議会からも運用に関する重要な情報が提供されます。
また、関連セミナーや説明会への参加、必要に応じた行政書士など専門家への相談も有効な手段です。
これらの情報収集と準備を通じて、持続可能な運送事業の実現に向けた特定技能制度の戦略的な活用と、受け入れのための盤石な社内体制の整備を進めましょう。
この最終準備段階をしっかりと行うことで、制度導入後のスムーズな運用と、外国人材の活躍促進、ひいては事業の安定化と成長に繋がります。
特定技能「運送業」に関する最も信頼性が高く、基本的な情報は、国土交通省や出入国在留管理庁といった関連省庁の公式ウェブサイトから入手できます。
これらのウェブサイトでは、制度の概要、対象となる業務範囲、外国人材や受け入れ企業の要件、申請手続き、関連法規の改正情報、通達などが随時公開されています。
例えば、国土交通省のウェブサイトでは「特定技能「自動車運送業」の概要」や「特定技能外国人受入れ(自動車運送業分野)の基準概要」といった資料が掲載されており、制度の根幹を理解する上で不可欠です。
2024年3月に自動車運送業が特定技能の対象分野に追加された経緯や、それに伴う詳細な運用ルールもここで確認できます。
これらの公的機関が発信する一次情報を定期的に確認することが、正確な知識を得るための第一歩となります。
情報源の例 | 主な掲載情報 |
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国土交通省ウェブサイト | 特定技能制度の自動車運送業分野における運用要領、基準概要、関連通達、Q&A |
出入国在留管理庁ウェブサイト | 特定技能制度全般に関する情報、在留資格申請手続き、必要書類、統計データ |
厚生労働省ウェブサイト | 外国人雇用に関するルール、労働条件、社会保険手続き |
警察庁ウェブサイト | 運転免許に関する情報(外国免許からの切り替え、学科試験の多言語対応など) |
制度を正しく理解し、適切な手続きを進めるためには、これらの公式サイトをブックマークし、常に最新の情報を参照する習慣をつけることが推奨されます。
特定技能外国人を受け入れる企業は、「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入が義務付けられています。
この協議会は、国土交通省が設置し、制度の適正な運用と外国人材の保護を目的としています。
協議会は、制度に関する最新情報の共有、受け入れ企業や外国人材からの相談対応、関係機関との連携、不正行為の防止など、多岐にわたる役割を担います。
具体的には、特定技能外国人の受け入れ状況の把握や、地域ごとの人手不足の状況に応じた情報提供も行い、制度が円滑かつ効果的に運用されるよう努めています。
受け入れ企業は、この協議会に対して必要な報告を行う義務があり、協議会からの指示や指導に従う必要があります。
協議会が提供する情報を活用し、その指導に従うことで、法令を遵守した適切な外国人材の受け入れと管理が可能になります。
協議会の主な役割・提供情報 | 詳細 |
---|---|
制度の適正な運用と外国人材の保護 | 制度に関する情報の周知、相談対応、不正行為の防止、関係機関との連携 |
受け入れ企業への情報提供と指導 | 最新の運用ルール、遵守事項、報告義務に関する情報提供、研修機会の提供 |
受け入れ状況の把握と地域バランスへの配慮 | 全国的な受け入れ状況のモニタリング、特定地域への偏在防止のための情報発信 |
登録支援機関との連携 | 登録支援機関への指導・助言、優良な登録支援機関の情報提供(間接的に) |
自動車運送業分野特定技能協議会への加入と積極的な関与は、特定技能制度を適正に運用し、外国人材の受け入れを成功させるための重要な鍵となります。
特定技能「運送業」に関する制度は比較的新しく、今後も運用状況に応じて細かな変更や追加情報が出てくる可能性があります。
そのため、国土交通省、出入国在留管理庁、業界団体、あるいは行政書士会などが主催するセミナーや説明会に積極的に参加することは、最新情報を効率的に収集し、理解を深める上で非常に有効です。
これらのイベントでは、制度改正のポイントや具体的な申請手続き、受け入れ企業の成功事例や注意点、外国人材とのコミュニケーション方法など、実務に直結する情報が提供されることが多いです。
例えば、最近ではオンライン形式でのセミナーも増えており、地理的な制約を受けずに参加できる機会も増えています。
参加費用がかかる場合もありますが、専門家から直接話を聞ける機会や、質疑応答を通じて疑問点を解消できるメリットは大きいです。
常にアンテナを張り、関連するセミナーや説明会の開催情報をチェックし、積極的に参加することで、知識を最新の状態に保ち、制度活用の質を高めることができます。
特定技能「運送業」の受け入れ手続きは、申請書類の作成や支援計画の策定など、専門的な知識を要する部分が多く、複雑です。
自社だけで全ての手続きを進めることに不安がある場合や、より確実に制度を活用したい場合には、出入国管理業務を専門とする行政書士などの専門家への相談を検討することも有効な選択肢となります。
専門家は、最新の法令や審査基準に基づいた的確なアドバイスを提供してくれるだけでなく、煩雑な書類作成や申請代行を依頼することも可能です。
特に、初めて特定技能外国人を受け入れる企業や、社内に専門知識を持つ担当者がいない場合には、専門家のサポートが大きな助けとなるでしょう。
相談する際には、自動車運送業分野の特定技能に関する実績が豊富かどうか、料金体系が明確であるか、コミュニケーションが円滑に取れるかといった点を確認することが重要です。
複数の専門家に話を聞いて比較検討することも一つの方法です。
専門家の力を借りることで、手続きの負担を軽減し、法令遵守を確保しながら、スムーズな外国人材の受け入れを実現できます。
専門家への相談を検討する主なケース | 確認すべきポイント |
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初めて特定技能外国人を受け入れる企業 | 自動車運送業分野の特定技能に関する実績、料金体系の明確さ |
社内に専門知識を持つ担当者がいない企業 | コミュニケーションの取りやすさ、サポート範囲(書類作成のみか、申請代行までかなど) |
複雑な事例(例:複数の国籍の外国人を同時に採用する場合) | 類似案件の取り扱い経験、関係省庁との折衝能力 |
時間的リソースが限られている企業 | 迅速な対応が可能か、進捗報告の頻度 |
適切な専門家を見つけ、効果的に活用することで、特定技能制度導入のハードルを下げ、より安心して外国人材の受け入れを進めることができるでしょう。
特定技能「運送業」制度は、単に人手不足を補うための一時的な手段ではなく、企業の持続的な成長と運送事業の安定化に貢献する戦略的な取り組みとして捉えるべきです。
そのためには、制度の活用と並行して、外国人材が能力を最大限に発揮し、長期的に定着できるような社内体制の整備が不可欠となります。
具体的には、受け入れ前の準備段階から、言語・文化の壁を乗り越えるためのコミュニケーション支援、日本人従業員の異文化理解促進、キャリアパスの提示、適切な評価制度の導入、そして安全管理体制の徹底など、多岐にわたる配慮が必要です。
例えば、特定技能1号の在留期間は最長で5年間ですが、その間に外国人材がスキルアップし、将来的にはより上位の資格取得や責任あるポジションを目指せるような環境を整えることで、モチベーションの維持・向上にも繋がります。
特定技能制度を戦略的に活用し、外国人材が働きがいを感じられる職場環境を構築することが、将来にわたる運送事業の発展と、地域社会への貢献に繋がります。
A1. はい、可能です。
特定技能「自動車運送業」では、日本の運転免許をお持ちでない外国人の方も、まず「特定活動」という在留資格で日本に入国し、運転免許の取得や必要な研修を受けるための準備期間が設けられています。
この期間中に、トラック運転者であれば最長6ヶ月、バス・タクシー運転者であれば最長1年間、日本に滞在して免許取得などに専念できます。
免許取得後、特定技能1号へ移行する手続きを行いますので、企業様は受け入れ準備を進めることが大切です。
A2. 特定技能の外国人材を運送業で受け入れる企業様には、いくつかの重要な条件があります。
まず、道路運送法に基づく自動車運送事業者であることが基本です。
それに加え、外国人材が安心して働ける環境整備への取り組みを示す「働きやすい職場認証制度」の認証を受けていること、またはトラック事業者様の場合は「安全性優良事業所(Gマーク)」の認定を受けていることが求められます。
さらに、国土交通省が設置する「自動車運送業分野特定技能協議会」への加入も、在留資格申請前までに必要です。
これらの準備を整えることが、特定技能の受け入れ企業としての第一歩です。
A3. 企業様には、特定技能の外国人ドライバーが日本で安心して仕事と生活ができるよう、多岐にわたる支援を行う義務が生じます。
具体的には、来日前の情報提供、出入国時の送迎、住居の確保支援、銀行口座開設や携帯電話契約などの生活オリエンテーション、日本語学習の機会提供、相談や苦情への対応などが挙げられます。
これらの支援は、登録支援機関に全てまたは一部を委託することもできます。
外国人材の定着と活躍のためには、きめ細やかなサポート体制が不可欠です。
A4. 特定技能でバスやタクシーの運転業務に従事する場合、トラック運転手よりも高い日本語能力が求められます。
具体的には、日本語能力試験(JLPT)のN3以上への合格が必要です。
これは、お客様との円滑なコミュニケーションが旅客自動車運送事業において特に重要となるためです。
一方、技能実習制度は、主に日本の技術を母国へ持ち帰ることを目的とした国際貢献の制度であり、特定技能制度は国内の人手不足解消を目的とした即戦力としての就労制度である点が大きな違いです。
特定技能 運送業の分野では、技能実習2号を良好に修了した方は、トラック分野に限り日本語試験が免除される場合がありますが、バス・タクシー分野では改めてN3以上の日本語能力を証明する必要があります。
A5. 特定技能のトラックドライバーには、貨物自動車の運転業務が主たる業務となります。
しかし、それに付随する業務として、日本人のドライバーが通常行っている範囲の作業であれば任せることも可能です。
例えば、荷物の積込みや荷下ろし、運行前後の車両点検、簡単な清掃、日報の作成などが該当します。
ただし、あくまで主業務は運転であり、付随業務のみに専ら従事させることは認められていません。
貨物自動車運送事業を円滑に進めるために必要な、運転に密接に関連する作業が中心になります。
A6. 特定技能の運送業に関する最新かつ正確な情報を得るためには、まず国土交通省や出入国在留管理庁の公式ウェブサイトをご確認いただくのが最も確実です。
これらの省庁は、制度の変更点や新たな通達などを随時公開しています。
また、業界団体が開催する特定技能 運送業のセミナーや説明会に参加することも、詳細な解説や質疑応答の機会が得られるため有効です。
加えて、「自動車運送業分野特定技能協議会」からの情報も重要になりますので、こちらも定期的にチェックすることをおすすめします。
この記事では、2024年に新しく始まった特定技能「運送業」について、制度の基本から受け入れ企業の条件、準備の手順、費用や注意点まで幅広く解説しました。
運送業界の人手不足という喫緊の課題に対し、この特定技能制度を正しく理解し、活用することが、外国人ドライバーを円滑に受け入れ、事業を持続的に運営していく上で非常に重要です。
この記事で解説した特に大切なポイントは以下の通りです。
この記事で得た情報を基に、まずは貴社で特定技能制度を活用して運送業の人材を確保できるか、具体的な検討を始めることが大切です。
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